「グレープフルーツの原産地は西インドです。」
このように書かれている資料の多いこと。これはたいへん大きな誤解を招きます。なぜならインドはインドでもタージマハルとカレーで有名なあのインドではなく、カリブ海域の群島「西インド諸島」のことだからです。カリブ海とインドでは地球儀の表と裏。西インドと書かれているのを見つけたら「(カリブの)西インド(諸島)」と書き加えておきましょう。
今から250年以上前、西インド諸島のひとつバルバドス島でグレープフルーツは発見されました。日本人にも馴染み深い文旦が突然変異したものと言われています。その後アメリカに渡り、フロリダでフランス系移住者によって栽培、発展しました。日本で流通するようになったのは1970代と実はとても歴史の浅いフルーツです。日本では気候が合わないため、ほとんどを輸入に頼っています。フロリダ・カリフォルニアのほか、南アフリカやイスラエルなどから輸入されています。6月を過ぎると南アフリカ産が増え始め、7月から10月にかけてはアメリカ産を上回ります。また同じアメリカ産でもフロリダ産は皮が薄く、カリフォルニア産は皮が厚いのが特徴です。
グレープフルーツのさっぱりした酸味とほのかな苦みは、糖度ばかりが重視される最近の柑橘類の中でも特徴的で、消費も非常に安定しています。果肉が淡黄色のホワイト系と、リコピン・βカロテンを含むことから注目されるようになった赤肉のルビー系があります。また最近ではオロブランコという皮が緑色のものも見かけるようになりました。スウィーティーという名前でも呼ばれています。無酸の文旦とグレープフルーツの交配種で、グレープフルーツより酸味や苦みが少なく食べやすいのが特徴です。
またグレープフルーツは甘さが控えめなので、料理にもよく合います。香りと酸味を生かしサラダに加えたり、巻き寿司の具にしたり、工夫しだいでいろいろとアレンジができそうです。果肉を綺麗にはずすには、まずグレープフルーツの上下を切り落とし、白いワタを剥き房の袋に沿って包丁を入れていくといいでしょう。この際若干残った果肉は手でぎゅっと絞り、その果汁をドレッシングに加えると無駄なく使い切ることができます。
さて、原産地バルバトス島ではグレープフルーツのことを発見当初「禁断の木の実」と呼んでいたそうです。それが後にぶどうのように房状に実が成ることから「グレープフルーツ」と呼ばれるようになったのです。ちなみにグレープフルーツの学名は「Citrus X paradisi」。Paradisiとは「楽園」を指します。「禁断の木の実」「楽園」とくればリンゴを真っ先に思い浮かべてしまいますが、なぜバルバドスの人々はグレープフルーツを「禁断の木の実」と呼んだのでしょうね。
文:野菜ソムリエ 高野和子
アレンジ:国家検定一級フラワー装飾技能士 野田徳子
参考文献/農経新聞社編集 『野菜と果物の品目ガイド』
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