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ベイリーフ(月桂樹) |
'11年 07月 01日 |
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ベイリーフはポトフやシチューなど洋風の煮込み料理に欠かせない香辛料のひとつです。
「ベイリーフ」は英語ですが、フランス語の「ローリエ」、日本語の「月桂樹」などの呼び名も一般的です。勝利と栄光の象徴とされ、この枝葉で作られた冠「月桂冠」を勝者に与える習慣は、現在でもマラソン競技などに受け継がれています。
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原産地は地中海沿岸で、日本には明治38年(1905年)に渡来して以来、庭木や公園樹、街路樹として利用されています。料理に使うものは主に乾燥葉ですが、生葉や花にも独特の芳香があります。生葉はつやつやとした光沢がありますが、苦みがあります。これを乾燥させると、艶が消え甘みと清涼感が加わり芳香もより強くなりますので、庭木などから取った若い葉は網などに入れ、風通しのよい日陰に吊るしておくとよいでしょう。
料理に使う前にもんだり叩いたりちぎったりするとさらに香りが出ます。素材の臭みを消す効果がありますが、煮込みすぎると苦みが出てきますので、香りがついたら葉は取り出すようにしましょう。煮込み料理のほかマリネに加えたり、パンプディングなどのお菓子作りにも利用できます。アルジェリアやモロッコでは油を採って肉加工品や菓子、パンなどに使われるそうです。
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また、古くなった乾燥葉は細かく崩し木綿やガーゼの袋に入れて靴箱やタンスの消臭剤として使うことができます。消臭効果のほか、防虫効果もあるため米や小麦粉の容器に2、3枚入れておくと虫除けにもなります。そして乾燥させても縮まず美しい葉形を保つベイリーフは、他のドライフラワーやプリザーブドフラワーと組み合わせることもできます。実用性とインテリア性を兼ねたリースやアレンジはとても素敵ですね。
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ベイリーフが日本にやってきた明治38年といえば日露戦争が終結し、講和条約であるポーツマス条約が締結された年です。この翌年に連合艦隊司令長官として日本の勝利に大きく貢献した東郷平八郎元帥は、戦勝を記念して日比谷公園にベイリーフの木を植樹しました。英国留学経験もある東郷は、ベイリーフが勝利の象徴としてヨーロッパの人々に親しまれていたことを知っていたのでしょう。ちなみに1934年に死去した東郷の国葬が行なわれたのも日比谷公園です。
ところで、東郷平八郎は一説によると肉じゃがの生みの親と言われています。といっても東郷が考案したというわけではありません。留学中に食べたビーフシチューの味が忘れられず料理人に頼んだところ、苦心した料理人が厨房にある食材を使って作り出したのだそうです。デミグラスソースの代わりに醤油やみりんを使った、というわけですね。シチューに入れるベイリーフは、東郷の肉じゃがにも入っていたのでしょうか。私はトライしたことがありませんが、肉と野菜の煮込み料理なのですからきっと合うはず。日常のさまざまな場面で使えるベイリーフの活躍の場、これからもっと増えそうですね。
文:野菜ソムリエ 高野和子
アレンジ:国家検定一級フラワー装飾技能士 野田徳子
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