コラム一覧へ スイカ '07年 06月 01日
マラソンのテレビ中継を見ていると、給水所には色とりどりの旗をつけたボトルがたくさん並んでいます。選手がそれぞれに自分の好みや、ナトリウムやカリウム、アミノ酸など必要と思われる成分をそれぞれ調整しているため「スペシャルドリンク」と言われています。旗は自分のものだという目印なのですね。さて1964年の東京オリンピック、男子マラソンで優勝したエチオピアのアベベ選手。彼が給水所に用意したスペシャルドリンクは、スイカの果汁だったと言われています。


スイカはアベベ選手の故郷アフリカが原産地です。特に南部に広がる砂漠地帯では、スイカは命の水瓶としてなくてはならないものです。「ターギ」というスイカを主食として食べ、「ナン」と呼ばれる野生スイカを飲み水として暮らす民族がいます。日本ではいちいち取るのに面倒がられている種さえも、大事なタンパク源として食べられています。スイカはカリウムやカロテン、アミノ酸の一種のシトルリン、そして体内にすばやく吸収されるブドウ糖や果糖が含まれているまさに「天然のスポーツドリンク」。今でこそいろいろな機能成分が入ったスポーツドリンクが、選ぶのに迷ってしまうほどたくさんありますが、スイカにもそれに負けない素晴らしいパワーがあるのですね。

冷蔵庫に入らない、家族が少ないから食べきれないと、カットスイカや小玉スイカが売れ筋になっています。小玉スイカは大玉に比べシャリ感が少ないと言われていますが、最近では大玉に負けないくらい食感のいい甘い小玉スイカの改良が進んでいます。写真のように底の部分を切り、座りをよくして器としても利用することができますので、家庭で食べるときや少人数のパーティなどには重宝します。とはいえ、大玉はやはりスイカの王道には違いありません。夏に大勢で切り分け、かぶりつくスイカは、やはりはずせないもの。

ここで小玉スイカではできない、大玉ならではの活用法をひとつ。大玉スイカの皮は緑色の部分を削り、棒状に切り塩を振ってしんなりさせます。これを炒め物にしたり、酢の物や汁物の具にしたりするのです。アミノ酸のシトルリンは、実は皮の部分に多く含まれます。利尿作用があり、むくみに効きます。同じウリ科のキュウリと同じように、いろいろな料理に使うことができます。これは皮の薄い小玉スイカにはできないワザですね。

数年前に行われたある市民マラソンのゴール地点、ここに水やスポーツドリンクとともに切り分けたスイカが置かれていました。全力で走りきったランナーたちに大好評だったのは、スポーツドリンクではなくスイカだったとか。かぶりついたスイカから溢れるみずみずしい果汁には、さすがのスポーツドリンクもかなわなかったということでしょう。

文: ベジタブル&フルーツマイスター高野和子

アレンジ:国家検定一級フラワー装飾技能士 野田徳子

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