コラム一覧へ キンカン '11年 02月 15日
決して主力にはならないけれど、冬場の柑橘類として根強い人気があるのがキンカンです。つるっと光る禿げ上がった頭のことを「金柑頭」と呼ぶことがありますが、そこにあまり悪意を感じないのはキンカンの愛くるしい姿のおかげでしょうか。



柑橘類最小のキンカンですが、正確には他の柑橘類とは別種です。柑橘類・・・オレンジやレモン、グレープフルーツ、いよかん、はっさく、温州みかん などはすべて「ミカン科ミカン属」の植物ですが、キンカンだけは「ミカン科キンカン属」。また、分類によっては一般的に生食に向かず香りを楽しむ「香酸柑橘類」の中に含まれます。しかし、実際キンカンは生食しますし、他の香酸柑橘類であるユズやスダチ、カボスなどと使い方が違うため、この分類には疑問があります。そもそも他の柑橘類(ミカン属)とは種が異なる点で、キンカンは柑橘の異端児といえるかもしれません。

キンカンは中国原産で、日本に導入されたのは江戸時代と言われています。しかし鎌倉時代には伝わっていたなどの説もあり、正確なことはわかっていません。長実(ナガミ)・丸実(マルミ)・寧波(ニンポウ)・福州(フクシュウ)などの品種がありますが、現在日本で生産されているキンカンのほとんどが、酸度の低い寧波です。宮崎県や鹿児島県など温暖な土地での栽培が多く、この両県で東京市場における入荷量の95%を占めています。
特に宮崎県では串間市を中心に、ハウス栽培し樹上で完熟させた糖度の高いもの(16度以上)を「完熟きんかんたまたま」というネーミングで販売しており、その楽しいネーミングや強い甘味により全国的によく知られるようになりました。
ちなみに「たまたま」はJA串間市が小学生を対象にネーミング募集した中から選ばれたそうです。大人では少し躊躇してしまいそうなネーミング・・・やはり子供ならではの発想ですね。
最近では糖度18度以上のものは「たまたまエクセレント」として出荷され、贈答品としても人気があります。

他の柑橘類と違い皮ごと食べるのがキンカンの特徴です。甘みは特に皮やじょうのう部(小袋)に多く含まれます。
また生食のほか、甘露煮やジャムなどに加工されます。完熟キンカンが世に出る以前はその多くが加工されていましたが、完熟キンカンの登場により生食も一般的になりました。
加工する場合はキンカンの小さくころころとした形を生かすとよいでしょう。煮る前にナイフで縦に数箇所切れ目を入れると、破裂防止になります。ショウガやはちみつと一緒にことこと柔らかく煮た甘露煮は、お茶請けにもぴったりです。体を温めるショウガやはちみつとの相乗効果で風邪の予防にもなります。
また、完熟キンカンは棒に刺して溶かしたチョコレートにくぐらせて、ココナッツやカラフルなチョコスプレー、刻んだナッツなどをまぶせば、とてもかわいらしいロリポップ風デザートになりますよ。


文:野菜ソムリエ 高野和子
アレンジ:国家検定一級フラワー装飾技能士 野田徳子


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