コラム一覧へ サラダ菜 '11年 03月 01日
ゆるやかに波打った葉の表面は、油脂を塗ったかのようにつやつやと滑らか。サラダ菜がバターヘッド型レタスと呼ばれるゆえんです。

レタスには数多くの種類があり、おおまかに「玉レタス」「葉レタス」「茎レタス」「立ちレタス」に分けることができます。「玉レタス」はさらにバターヘッド型とクリスプヘッド型に分類されます。一般的にレタスといえばこのクリスプヘッド型のものをさします。クリスプとは「パリパリとした」という意味の形容詞。歯ざわりのよいクリスプヘッド型レタスと違い、バターヘッド型のサラダ菜はしんなりとした柔らかい葉が特徴です。
バターヘッド型のサラダ菜は結球していませんが、「玉レタス」に分類されるように、放っておくと結球していきます。サラダ菜は、結球してしまう前の若いうちに早採りしているレタスなのです。

サラダ用のレタスだから「サラダ菜」と呼ばれているのだとしたら、なぜ数多くのサラダに向く葉っぱ類の中で、このバターヘッド型のものだけがその名をほしいままにしたのでしょうか。おそらく日本への導入が比較的早かったからでしょう。文献により諸説ありますが、江戸時代〜明治時代に伝わったと言われています。今でこそサラダ用の野菜は多種多様で、クセや苦みがあるものも最近では多くみられますが、サラダ菜はマイルドで使いやすいので今も昔もサラダ用野菜として重宝されているのです。
それにしても名前で得をしている野菜だな、と感じるのは私だけでしょうか。逆にいえば用途を制限されているような気もしますが・・・加熱したサラダ菜も食感が変わり楽しいものです。くせの少ないサラダ菜は野菜ジュースに用いられることも多いのですが、ポタージュにしても鮮やかな色が際立ちおすすめです。炒めものや和え物など、サラダ菜という名前の先入観にとらわれず色々な調理法で楽しんでみましょう。
さらに、サラダ菜は緑黄色野菜であるということも特筆すべき点です。一般的な玉レタスは淡色野菜ですが、サラダ菜は100ｇ中カロテンが2200μｇと豊富です。レタス類の中でリーフレタス・サニーレタスも同様にカロテン含有量が多く緑黄色野菜に分類されますが、食べやすさまで考慮すると、サラダ菜は万人向けのとても優秀な野菜といえます。
また鉄分はレタス類の中で最も多く含まれます（サラダ菜2･4mg・玉レタス0･3mg・リーフレタス1･0mg・サニーレタス1･8mg）。鉄分はビタミンCを加えると吸収率が高まりますので、ドレッシングに柑橘類の果汁を加えたりビタミンCの多いブロッコリーや赤ピーマンなどを組み合わせてみましょう。

文：野菜ソムリエ　高野和子
アレンジ：国家検定一級フラワー装飾技能士　野田徳子

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