コラム一覧へ アケビ '11年 10月 15日
庭のフェンスに絡まったアケビの葉に見え隠れしていた青い実が、紫に色づいて「私はここにいるよ!」と言わんばかりに自己主張を始めると、本格的な秋の訪れを感じます。さわやかな風に乗ってやさしく薫る金木犀も、たわわに実る橙色の柿も、みんな秋の到来スイッチ。世の中でどんなことが起きていようとも、毎年変わらず季節はめぐることに自然への感謝の気持ちが溢れます。



アケビは日本全国に自生しており、千年以上前の書物にも登場するほど古くから日本人に親しまれてきた植物です。つる性落葉樹で、庭木やアーチ、フェンスなどにもよく利用されています。植物学上「アケビ」と呼ばれるのは小葉が5枚つくもので、3枚のものは「ミツバアケビ」といいます。栽培され市場に流通するものは多くが「ミツバアケビ」で、他に両者の雑種である「ゴヨウアケビ」もありますが、一般的には「ミツバアケビ」も「アケビ」として通じています。

実は熟すと皮の縦方向に白い線が見えるようになります。私はこれを「妊娠線」と呼んでいます。それがしばらくすると裂けてパカッと大きく割れ、中から白いゼリー状の果肉が顔を出します。果物として食べるときは、白い果肉を種ごとスプーンですくって食べますが、厄介なのがこの種。絡みつくように果肉がくっついているので、種を上手に吐き出すべきか、そのまま飲み込んでしまうか迷うところです。でも種はとても苦いので決してかじらないようにしてくださいね。

アケビは地方によってさまざまな食べ方、利用法があります。栽培アケビ生産量の大半を占める山形県では果肉を取り出し、ひき肉やキノコなどを炒めたものを詰めて蒸し焼きにして皮ごと食べます。この地域ではご先祖の霊がアケビの船に乗って帰ってくるとして、秋の彼岸には実を仏前にお供えするそうです。新潟県では春の新芽を「木の芽」と呼び、ゆでておひたしなどにして食べます。また、初夏に伸びた蔓は日陰で乾燥させ、籠などを編むのに用いられています。このアケビ細工は秋田や岩手など北東北や長野の伝統工芸品としてお土産にも人気です。茎は「木通」という生薬で漢方薬にも用いられていますが、葉や茎を煎じたお茶も健康茶として流通しているなど、アケビは思いのほか様々な用途に利用されています。

アケビという名前は、熟したときに口を開けるので「開け実」から転化したと言われていますが、「欠伸(あくび)」を由来とする説もあります。それを頭に置いて口の開いたアケビに目をやると、果肉から透き通って見える黒い種が整然と並んだ歯のように見えて、なんだかモンスター図鑑に載っていそうな、思わず目を書き足したくなるような、そんな衝動に駆られてしまいます。お子さんにもこんな風に話しをしてあげると、地味なアケビにも興味を持ってくれるかもしれませんね。

文:野菜ソムリエ 高野和子
アレンジ:国家検定一級フラワー装飾技能士 野田徳子


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